半田めっきのウイスカー対策

代替めっきとしてのSnめっき

電子・電気機器における特定有害物質の使用制限として、欧州連合(EU)によるRoHS指令は2003年2月にWEEE指令と共に公布、2006年7月に施行ました。それに伴い、半田めっきにおいては主要成分である鉛が規制されたことから、現状はその多くがSnめっきへ代替されました。ただ、Snめっきにおいてはウイスカという結晶粒子の析出成長による実装後の配線短絡の問題の可能性が指摘されることから、その対策としての皮膜調整が必要となっています。

① Snめっきの内部応力がウィスカーの発生因子となる。

ウイスカーとは一般的に皮膜中のSn粒子の内部応力により、結晶成分が針状に押し出された現象を指します。特に内部応力を高める要因としては、

  • 結晶サイズが小さい
  • 有機物の吸蔵
  • 外部の機械的な力
  • 保管時の温度湿度
  • 素地との拡散層形成による応力増大

が挙げられます。

② ウィスカーを最小限に抑制するためにはめっき工程が非常に重要

ウイスカーの発生そのものをゼロにすることはSnそのものの物性故、一般的には極めて困難であると考えられていますが、皮膜状態や使用環境の管理によって抑制することは可能です。めっき皮膜形成としましては以下の方法が挙げられます。

  • 結晶を、大きく、均一な多角形結晶粒子構造にする
  • 皮膜中の有機物吸蔵量を少なくする
  • 素材に直接めっきせず、バリア層として下地めっきとしてNi層を挟む
  • 皮膜層を厚くし、下地との影響を少なくする
  • リフローのより 結晶粒子を溶融させ 応力緩和する

当社使用 Snめっきの特徴

析出物中の有機物吸蔵量を低くする

  • 添加剤吸蔵量の低減
  • 添加剤の副生成物の最小化

析出物結晶サイズを1μmより大きくする

  • 効果的な添加剤システム

コネクタ用 鉛フリー対応めっき

鉛フリー対応めっき Snリフロー

鉛(Pb)はんだめっきの代替として同等の皮膜特性を有する錫(Sn)めっきを使用する場合、ウイスカー対策が必要です。そのひとつの対策としまして、ウイスカーの発生原因である結晶粒子の内部応力をリフローをかけることで緩和することができます。当社では リフロープロセスを用いたコネクタ用Snリフローめっきを量産しています。

リフロー量産機による外観写真
リフロー前
リフロー後

Snリフロー 表面状態

リフロー前
リフロー後
リフロー前
リフロー後

Snリフロー はんだ濡れ性

ゼロクロスタイム (単位:秒)

  めっき上がり PCT:5時間 PCT:16時間
リフロー前 リフロー後 リフロー前 リフロー後 リフロー前 リフロー後
1 0.33 0.80 0.47 0.70 0.58 1.08
2 0.43 0.70 0.42 0.80 0.51 1.36
3 0.32 0.69 0.40 0.93 0.48 1.50
4 0.32 0.71 0.50 0.95 0.30 1.04
5 0.35 0.44 0.63 1.16 0.43 1.48
AVE 0.35 0.67 0.48 0.91 0.46 1.29
MAX 0.43 1.80 0.63 1.16 0.58 1.50
MIN 0.32 0.44 0.40 0.70 0.30 1.04
STD 0.05 0.13 0.09 0.17 0.10 0.22

測定器:SWET-2000
Sn-3Ag-0.5Cuペースト
ロジン系フラックス
PCT:121℃-100℃RH

Snリフロー ウィスカー

※サンプル:Cu下地,Sn 1µm

リフロー前
リフロー後
リフロー前
リフロー後

ラック式Snめっき加工

車載用プレス部品等少量多品種各種材料へのラック引掛け方式でのSnめっき加工承ります